ネット上の情報で頻繁に見られるのが、「台風で店が休みになれば無条件で休業手当がもらえる」という誤解と、逆に「天災による休みは店側が一切補償しなくてよい」という極端な言説です。この両極端な認識のズレが、給与明細を受け取った後の労使トラブルを招く火種となっています。
法律上の争点となるのは、バイト先臨時休業給料の支払い義務を定めた「不可抗力の成立要件」です。行政解釈および判例上、天災による休業が「不可抗力」として会社免責になるためには、次の2つの要件を同時に満たす必要があります。
第1に「その原因が事業の外部で発生した事故であること」、第2に「事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても避けることができない事故であること」です。
例えば、店舗自体が浸水被害を受けたり、全公共交通機関が遮断されて物理的に営業継続が不可能な状態であれば、不可抗力が認められ、店側は休業手当の支払い義務を免除されます。しかし、「客足が鈍る見込みだから人件費を削るために前日段階で休業を決めた」「雨風はあるが交通機関は動いており、他店は営業している状況でオーナー独自の経営判断で早仕舞いした」というケースは、使用者の責に帰すべき事由と判断され、台風休業手当バイトの支給義務が発生します。
「台風=すべて不可抗力で給料ゼロ」と一方的に処理されている場合、それは労働基準法第26条の不当な不払いに該当する可能性が高いため、労働条件通知書やシフト表の記録を確実に保存しておく姿勢が求められます。