「生食用=新鮮」「加熱用=古い」という俗説は、水産業の現場において完全に間違いである。両者を分ける唯一の基準は、採取された海域の衛生状態と、その後の浄化処理の有無にある。食品衛生法に基づく規格基準により、生食用として出荷される貝類には厳しい細菌数やウイルスの規格が課せられている。
浄化処理では、無菌海水に牡蠣を2〜3日間浸し、体内の排泄物とともにウイルスを吐き出させる。この過程で牡蠣は栄養を消費するため、どうしても身が痩せて旨味が減ってしまう。逆に、浄化を行わない加熱用は身が太く濃厚な味わいが残る。料理の目的に応じて使い分けるのが正解であり、決して鮮度の優劣ではない点を理解しておきたい。