本作でリーダー格のクリスを演じ、誰もがその将来を確信していたリヴァー・フェニックス。映画の結末でクリスが成人後に不慮の事件で命を落とすナレーションは、現実のリヴァーの運命と残酷なまでに重なり合っています。
1993年10月31日未明、リヴァーはジョニー・デップが当時共同所有していた西ハリウッドのナイトクラブ「ザ・ヴァイパー・ルーム」の前で突如倒れ、23歳の若さで死亡しました。ロサンゼルス郡検死局の公式発表資料によると、死因の真相はコカインとヘロイン(モルヒネ)の同時大量摂取による「急性多剤併用中毒(スピードボール)」でした。
当時、環境保護活動家や完全菜食主義者(ヴィーガン)としてクリーンな生活を送っていると報じられていたため、世界中に走った衝撃は計り知れませんでした。しかし関係者の証言や手記によると、幼少期にカルト宗教「神の子供たち」で過ごした極貧生活、10代にして家族全員の生活費を稼ぎ出すという重圧、さらに繊細すぎる感性がハリウッドの喧騒に耐えきれず、人知れず薬物への依存を深めていた実態が浮かび上がっています。
その場に居合わせ、震える声で911へ救急通報を行ったのが、当時19歳だった弟のホアキン・フェニックスでした。兄の死という巨大なトラウマに直面したホアキンは、後に『ジョーカー』でアカデミー主演男優賞を受賞した際、授賞式のスピーチでリヴァーが遺した「Run to the rescue with love, and peace will follow(愛を持って救済に向かえ、そうすれば平和がついてくる)」という言葉を引用し、涙ながらに兄への追悼を捧げました。ホアキンがパートナーのルーニー・マーラとの間に生まれた長男に「リヴァー」と名付けた事実は、ファンの胸を強く打ち続けています。