時計の針を少し巻き戻してみよう。1990年代後半から2000年代初頭、株式会社大洋図書が発行していた伝説のストリート誌『egg』が打ち出した黒ギャル(ガングロ・ヤマンバ)スタイルは、当時の若者による既存秩序への反逆の証だった。日焼け肌に白リップ、厚底ブーツを合わせた姿は強烈なカウンターカルチャーとして列島を揺るがした。
それから四半世紀。いま薄野で起きている現象は、いわゆるY2K・平成レトロカルチャーを現代的な感性で再解釈したハイブリッドな進化形だ。かつてのヤマンバのように極端な白塗りを施すのではなく、健康的な肌艶を強調したベースメイクに、サイバー感のあるストリートファッションを融合。洗練されたスタイルへとアップデートされている。
「昔のギャルカルチャーをただ真似しているわけじゃないんです。自分らしくあるための強さや、ポジティブなテンションを表現する手段として小麦肌を選んでいる」
現場で働く20代前半のスタッフはそう語る。型にはまらない自己表現の手段として、彼女たちは褐色の肌を誇らしげに纏っているのだ。