日本映画史に燦然と輝く名作シリーズ『極道の妻たち』。主役を務めた岩下志麻が見せた圧倒的な貫禄と立ち振る舞いは、今なお多くの人々の脳裏に焼き付いている。後に高島礼子ら実力派女優陣へ受け継がれたこの名作シリーズは、組長が服役中や不在の際、組の看板を守り抜き、若衆を束ねる「姐さん」の力強さを強烈に印象づけた。
実際の裏社会において、特に日本最大の指定暴力団とされる山口組などの巨大組織では、姐さんの存在感は映画以上に絶対的なものだったと言われる。組員たちの慶弔事を取り仕切り、内部の紛争を和らげ、警察の捜査線から組織の資金源防衛に心を砕く。時に組長以上の決断力と忍耐が求められるその立場は、まさに「裏のトップ」としての責務を帯びていた。
しかし、その華やかさの裏には厳格な掟が存在する。組の機密を漏洩することは固く禁じられ、抗争の渦中においては自らの命や家族の犠牲すら受け入れなければならない。一歩間違えれば底なしの泥沼へと引きずり込まれる緊迫感のなかで、彼女たちは血縁を超えた絆と覚悟を試され続けてきたのだ。