スポーツメディアの歴史は、ひとつの作品によって決定的に塗り替えられた。社会現象となった『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』である。美化された功績を並べるだけの従来の総集編とは一線を画し、人間の業や欲望、組織の確執までをも包み隠さず描き切る手法は、スポーツドキュメンタリーというジャンルを最高峰のエンターテインメントへと昇華させた。
この歴史的成功を受け、米有料放送大手のHBOをはじめとする競合メディアも巨額の予算を投じて参入を加速させている。スポーツビジネスの主戦場が試合中継から「裏側のストーリー」へとシフトする中、アスリートの人間性に深く切り込むコンテンツ合戦はかつてない加熱を見せている。