本作の最大の魅力は、電子書籍ベンチャー企業「スリースターブックス」を舞台に繰り広げられる、単なるビジネスサクセスストーリーにとどまらない濃厚な人間ドラマにあります。裕福な家庭に生まれながらも孤独を抱える女性社長と、貧しい環境で育ちながらも前を向く青年、そして社長を公私にわたり支え続ける忠実な右腕——この3人を軸とした関係性が物語を牽引しました。
ドラマ『SUPER RICH』のキャスト相関図を紐解くと、主人公・氷河衛(江口のりこ)を取り巻く人物たちの役割と心理的距離感が極めて緻密に構築されていたことが分かります。
江口のりこ演じる氷河衛は、裕福な環境で育ちながらも幼少期に両親を亡くし、「お金はあるが愛に飢えている」36歳の敏腕女性CEOです。冷徹に見えながらも情に厚く、仲間の裏切りによって一文無しに転落してもなお前を向く強烈なキャラクター像を、江口持ち前の自然体かつ圧倒的な存在感で演じ切りました。
その衛の人生を大きく揺るがすのが、赤楚衛二演じる春野優です。専門学校生としてインターンに応募してきた優は、実家が多額の借金を抱える極貧生活を送りながらも、素直で真っ直ぐな心を持った青年。衛との出会いを通じてビジネスの厳しさと成功の甘美さを学び、物語後半では共同CEOへと急成長を遂げ、やがて衛との年の差・経済格差を超えた結婚に至るというドラマティックな運命を辿ります。
そして、衛を長年崇拝し、無条件の忠誠を誓う人事責任者・宮村空役を演じたのが町田啓太です。空は過去に心に深い傷を負った際、衛に救われた経験から「衛さんのためなら命も惜しくない」という徹底した献身を見せます。優の登場によって揺れ動く複雑な感情を、町田は繊細な視線の動きと抑えた演技で見事に表現しました。
さらに、大手IT企業「MEDIA」の取締役であり、衛がキャリア初期から憧れ目標とし続けた先輩経営者・島谷聡美役として松嶋菜々子が特別出演を果たしました。圧倒的なオーラと経営者としての冷徹な判断力を持つ島谷の存在は、物語に重厚なリアリティと緊張感をもたらす決定打となりました。