Googleや予約サイトで「所沢 東横 イン」と検索しても、以前は周辺都市の店舗ばかりが表示され、肩を落とした利用者が後を絶ちませんでした。メガターミナル駅であり、1日数十万人の乗降客数を抱える所沢駅前に、日本を代表する宿泊特化型チェーンが存在しなかった事実は、多くの旅行者にとって不可解な謎として語り継がれてきました。
この現象の根底には、所沢という街特有の「都市構造と開発のタイミング」が存在します。所沢駅周辺は歴史的に西武グループの企業城下町として発展し、駅直結の大規模商業施設やオフィスビルが優先的に区画整理されてきました。広大な敷地を要するビジネスホテルの用地確保は容易ではなく、チェーン各社にとって「参入したくても駅チカに適地がない」という需給のミスマッチが続いていたのです。
さらに、東横インの埼玉エリアにおける出店計画において、大宮、浦和、川口といった新幹線停車駅・JR主要幹線沿線が優先されてきた経緯も重なります。結果として「東横イン 最寄り 所沢」を検索すると、西武線で乗り継ぎが必要な本川越や、JR武蔵野線・埼京線沿線まで足を伸ばさざるを得ない状況が固定化していました。こうした複合的要因が絡み合い、「所沢には東横インがない」という強い固定観念が定着するに至ったのです。