素盞嗚神社の名を全国区に押し上げている二大要素が、東伊豆・稲取の「雛段飾り」と、広島・福山の「祇園祭(けんか神輿)」です。
東伊豆町稲取に鎮座する素盞嗚神社では、毎年春の「雛のつるし飾りまつり」期間中に合わせて、境内の118段におよぶ急勾配の石段に約500体もの雛人形がずらりと並べられます。雨天時には一体ずつ手作業で出し入れを行う地元保存会やボランティアの尽力により維持されており、段上から海を見下ろす鮮やかな赤毛氈の景観は息をのむ美しさです。早朝の澄んだ空気の中で撮影に訪れるファンも多く、地域の文化遺産を肌で感じられます。
一方、広島県福山市新市町の素盞嗚神社で毎年7月中旬に執り行われる「祇園祭」は、静謐な稲取とは対照的に、猛烈な熱気と勇壮さに包まれます。3基の神輿が激しくぶつかり合う「けんか神輿」は、神話における素盞嗚尊の荒ぶる魂を再現したかのような迫力です。地元関係者の証言によると、「この神輿の衝突によって厄神を祓い清め、地域の生命力を再生させる」という深い信仰が何世代にもわたって継承されています。