「宿題も中間・期末テストもない学校」と聞けば、多くの大人は学力低下を危惧するだろう。しかし、千代田区立麹町中学校が目指したのは学習の放棄ではなく、学習プロセスの根本的な再構築だった。一発勝負の定期テストを撤廃した代わりに導入されたのは、単元ごとの小テストと「再チャレンジ制度」だ。
生徒は理解が不十分だと感じれば、何度でも再テストを受けて学び直すことができる。他者との順位争いではなく、昨日の自分を超えるための仕組み。これにより、「テストのために丸暗記して終わったら忘れる」という従来の悪循環が断ち切られた。宿題についても、全員一律のプリント配布をやめ、自分に足りない部分を補う自律的な家庭学習へと移行した。
もちろん、導入当初からすべてが順風満帆だったわけではない。保護者からは「高校受験に対応できるのか」という不安の声も噴出した。だが、自分で学習計画を立てて弱点を克服する習慣を身につけた生徒たちは、難関都立高や私立高の入試でも確かな実績を残し続け、そうした疑念を実力で払拭していった。