速水奨を語る上で欠かせないのが、一度聴いたら忘れられない気品と深みを帯びた低音ボイスです。その真骨頂が発揮された代表作の一つが、『BLEACH』の藍染惣右介でしょう。穏やかな物腰の護廷十三隊隊長から、圧倒的な力で天に立とうとする冷酷な黒幕への豹変を見事に演じ分けました。「あまり強い言葉を遣うなよ、弱く見えるぞ」「憧れは理解から最も遠い感情だよ」といった数々の名台詞は、速水奨の滑らかで底知れない美声によって不朽のインパクトを残しています。
一方、近年のファン層を大きく広げたのが、音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』の神宮寺寂雷(シンジュク・ディビジョン/麻天狼)です。長身の天才医師でありながら、過去の傷を抱えてラップバトルに挑む複雑な内面を熱演。重低音を効かせたポエトリーリーディング調のフロウは、声優界屈指のグルーヴ感を生み出しており、ライブイベントでの圧倒的なステージングでも観客を熱狂させています。
さらに、『超時空要塞マクロス』のマクシミリアン・ジーナス、『聖闘士星矢』の海馬のバイアン、『南国少年パプワくん』のマジック総帥、『勇者エクスカイザー』のエクスカイザー、『Fate/Zero』の遠坂時臣、『本好きの下剋上』のフェルディナンドなど、二枚目から知性派、厳格な父親役、ギャグキャラクターまで演じ分けるレンジの広さは圧巻のひと言です。