日本の素麺文化を牽引してきた二大銘柄の生産現場でも、冷却処理へのこだわりは徹底している。全国的な知名度を誇る「揖保乃糸」を手がける兵庫県手延素麺協同組合の関係者は、「職人が手作業で限界まで引き延ばした繊細な麺質を味わうには、余分な水分を麺に残さないことが鉄則」と強調する。
また、素麺発祥の地として知られる奈良の「三輪素麺」においても考え方は同じだ。細いながらも強いコシを持つ三輪の麺は、茹で上がりのタイミングと直後の水洗いが味の命運を分ける。氷水で迅速に冷却した後は、器に直接盛るのではなく、スノコを敷くか竹細工のザルに移して水切れの良い状態を保つのが老舗の真髄と言える。