この裁判が長期化した最大の要因は、「インフルエンサーの個人的な秘密」と「商品の効能」の因果関係をどう法的に証明するかという難題にあった。メーカー側は「豊胸の事実を隠していたから商品が売れた。それが嘘だったのだから契約違反であり、ブランドイメージの毀損だ」と主張。一方の弁護側は、売上への貢献度や、契約書の文言の解釈を巡って一歩も引かない姿勢を見せた。
法廷で飛び交う専門用語と、SNS上の感情論。そのギャップが埋まらないまま、審理は引き延ばされ、結果として双方に莫大な時間的・金銭的コストを強いることになった。この泥沼劇は、安易な契約書で結ばれていた初期のインフルエンサービジネスの甘さを浮き彫りにした。