日本社会には根強く「他人に迷惑をかけてはならない」という規範が存在する。この自己責任論とも言える意識が、多くの人を追い詰めてきた。しかし、完璧な人間など存在しない。誰もがいつかは病気になり、老い、あるいは予期せぬトラブルに遭遇する。
「お互い様」という言葉の真意は、自分が弱者になった時に他者に甘えることを許し、逆に他者が困っている時には手を差し伸べるという双方向の契約にある。迷惑をかけることは悪ではない。むしろ、お互いに少しずつ迷惑をかけ合うことで、社会の摩擦熱が和らぎ、生きやすい環境が作られるのだという認識が、今ようやく広がりつつある。