驚くべきことに、この法令が目指した理念は、現代の「動物愛護管理法」やSDGs(持続可能な開発目標)の精神と驚くほど一致している。犬だけでなく、猫、鳥、さらには魚や貝類に至るまで、生命あるものすべてを慈しむという思想は、当時の世界基準から見ても異常なほど先進的だった。
17世紀のヨーロッパでは、デカルト哲学の影響もあり「動物は感情のない機械である」と考えられ、残酷な動物虐待が日常的に行われていた。その時代に、国家のトップが「命の尊厳」を法律として明文化し、社会全体に浸透させようとした試みは、世界史的にも稀有な出来事と言える。綱吉の思想は、時代を300年以上先取りしすぎていたのだ。