大瀧詠一は単なるメロディメーカーではない。ポップスの歴史を研究し尽くした「音の考古学者」でもあった。この曲にも、1960年代のアメリカン・ポップスへのオマージュや、緻密に計算されたコード進行がこれでもかと詰め込まれている。
例えば、サビに向けて高まっていく感情を表現するための転調や、ダブルトラック(同じボーカルを2回重ねて録音する手法)による独特のボーカルの艶。これらはすべて、聴き手の潜在意識に「心地よさ」を植え付けるための計算だ。音楽を分析的に聴く現代の若いクリエイターたちが、彼の仕掛けた謎解きに夢中になるのも無理はない。