生卵でもなく、目玉焼きでもない。なぜ「ゆで卵」にこだわったのか。その理由は、彼の過酷な幼少期と戦後の混乱期にさかのぼる。徳島県出身の板東氏は、引き揚げ者として貧しい時代を過ごした。当時、卵は病気の時か特別な日にしか食べられない超高級品だったのだ。
「お腹いっぱい卵を食べたい」。少年時代の飢餓感と憧れが、大人になり、自ら稼げるようになったことで爆発した。さらに、タレントとして多忙を極める中で、移動中に手が汚れず、いつでもどこでもすぐに食べられる携帯性の高さも、ゆで卵が選ばれ続けた実用的な理由だった。