近年のメガヒット作に対する批評眼も、従来の映画レビューとは一線を画す。たとえば社会現象となった『オッペンハイマー』や、現代SF映画の金字塔と称される『デューン 砂の惑星 PART2』の論考だ。
単にスケール感や視覚効果を称賛するのではない。登場人物の倫理的ジレンマ、音響設計が観客の心理に与える無意識の影響、さらには70mmフィルムという物理メディアが持つ政治性まで、解剖外科医のごとき手さばきでテキストを解剖してみせる。大作SF映画であっても、大衆迎合の側面だけで片付けない。映像言語の進化として作品を捉え直すディープな考察は、一度観たはずの映画にまったく新しい景色を与えてくれるはずだ。