大航海時代、水夫たちの手記には「船を丸呑みにする巨大な海蛇」が頻繁に登場する。1734年、ノルウェーの伝道師ハンス・エゲデがグリーンランド沖で目撃した記録は特に有名で、頭部が船の甲板より高く上がり、体長は船体全体を凌駕していたとされる。
当時は大袈裟な法螺話として処理されることが多かった。しかし、近代に入っても目撃例は途絶えていない。英海軍の軍艦「ドーダラス号」による1848年の報告から、20世紀の潜水艦乗組員による謎の生物との遭遇事故に至るまで、海が隠し持つ異形の目撃譚は記録の片隅に蓄積され続けてきた。