卒業後の就職先に関しても、大学と専門学校の間に目に見えない棲み分けが形成されています。とりわけ高度医療を提供する大学病院、国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)、特定機能病院では、新卒採用枠における大卒比率を7〜8割以上に設定する方針を掲げる施設が定着しています。先進医療技術の開発や臨床研究を担う現場では、論文読解能力や統計的思考、エビデンスに基づく看護研究の実践力が必須とみなされるためです。
一方、看護専門学校生にとって最大の強みとなるのが、系列附属病院への圧倒的な就職パイプです。病院附属の専門学校に入学した場合、実習の大半をその系列病院で実施するため、病棟の雰囲気や電子カルテの運用、医療安全プロトコルを在学中に熟知できます。就職活動においても内部推薦枠が手厚く用意されており、一般の採用試験よりも極めて有利に内定を獲得できるメリットがあります。地域医療の中核を担う公立病院や一般総合病院においては、即戦力として動ける専門学校出身者が今なお高く重宝されています。
資格取得の選択肢も見逃せない分岐点です。かつて看護大学の多くで標準装備されていた保健師・助産師のトリプルライセンス取得は、カリキュラム改定により定員選抜制(各10〜20名前後)や大学院課程への移行が進んでいます。とはいえ、4年間の学士課程内で保健師国家試験の受験資格を狙えるルートは依然として大学独自の強みです。専門学校生が保健師や助産師を目指す場合は、卒業後に1年制の養成機関(保健師学校・助産師学校)を受験して進学する必要があり、その入試倍率は全国的に5〜10倍を超える極めて狭き門となっています。