90年代末から2000年代初頭にかけて、一部の女性週刊誌や芸能ワイドショーは「新旧歌姫の衝突」という構図を好んで取り上げました。松田聖子が築いた女性アイドルの金字塔を、新世代のカリスマである浜崎あゆみが塗り替えていく過程で、楽屋でのすれ違いやキャスティングを巡る確執といったゴシップが独り歩きした時期があります。
結論から言えば、ふたりの間に実質的な不仲の事実は一切存在しません。火種とされた噂の多くは、視聴率や部数を稼ぐためにメディアが仕立て上げたフィクションに過ぎないのが実情です。
実際の現場では、むしろ温かな敬意が交わされていました。『ミュージックステーション』や大型音楽特番で松田聖子と浜崎あゆみが共演を果たした際、浜崎あゆみは常に深々とお辞儀をして挨拶を交わし、大先輩への礼を尽くしていました。浜崎あゆみ自身、少女時代から松田聖子の楽曲に触れて育っており、インタビューでも「日本のポップス界を作り上げてきた絶対的な存在」として惜しみない敬意を公言しています。
一方の松田聖子も、激しいプレッシャーの中で自作の詞を紡ぎ、同世代の代弁者として戦う浜崎あゆみの姿に後輩アーティストとしての頼もしさを感じていたと伝えられています。頂点を極めたふたりだからこそ共有できる「孤独」と「プロ意識」が、外野の喧騒とは無縁の相互理解を生んでいました。