謎のCMシンガーから国民的スターへと変貌を遂げる決定的な転換点となったのが、当時の看板音楽番組『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)への初出演でした。
1980年4月28日、同番組のスタジオに登場した松田聖子は、生バンドの演奏をバックに『裸足の季節』を熱唱。緊張感を漂わせながらも、ひとたび歌い出せば圧倒的な声量と満面の笑みで空間を支配し、スタジオ内の共演者やスタッフを瞠目させました。視聴者は「声の主」の愛らしいビジュアルと確かな実力を同時に目撃し、熱狂は一気に加速していきます。
この時期に確立されつつあったのが、後に一世を風靡するヘアスタイル「聖子ちゃんカット」です。この髪型が生まれた理由について、当時のヘアメイク関係者の証言によると、当初は肩上のボブベースにレイヤーを入れ、自然な内巻きと外ハネをミックスさせていたものが、彼女の快活なパフォーマンスに合わせてサイドをふんわりと後ろへ流すブローへと進化していったとされています。顔まわりを華やかに包み込みながら、豊かな表情を際立たせるこのフォルムは、瞬く間に全国の若い女性たちの間で模倣され、1980年代前半の象徴的なカルチャーアイコンとなりました。