One57をはじめとする鉛筆型超高層タワー群では、エレベーターの度重なる停止、配管のきしみ、強風時の構造体の揺れなど、初期の設計思想と実居住性能のギャップが次々と露呈している。松居一代が直面したトラブルは、まさにその氷山の一角に過ぎなかった。
アメリカの不動産法務において、管理規約の解釈や共有部分・専有部分の責任分界点を巡る争いは日常茶飯事だ。だが、彼女は持ち前の凄まじいバイタリティと英語力、そして百戦錬磨の法廷闘争経験を武器に、現地の弁護士を雇い入れ、理不尽な管理体制に対して一歩も引かない姿勢を貫いた。日本人投資家がカモにされがちな海外不動産市場において、彼女の徹底抗戦は現地関係者をも驚愕させる異例の事態となった。