彼女の才能の真骨頂は、ジャンルを選ばないその柔軟な振れ幅にある。緻密な伏線と張りつめた緊張感が連続するサスペンス・スリラーにおいては、登場人物の心理的追いつめられ方に応じて衣装のくたびれ感や色味のトーンを微細に変化させる演出を施す。
かと思えば、繊細な心情描写が試されるヒューマンドラマでは、日常の何気ない生活感を漂わせる生地の選定やシルエットの美しさにこだわり、観客の心に静かな感動を呼び起こす。どのようなジャンルであれ、物語の核にある人間性を引き出すアプローチは一貫しており、演出陣からの絶大な信頼へと繋がっている。