フィクションの世界ではギャグや軽微な気絶描写として片付けられがちですが、生身の人間に対する腹部打撃は、命に関わる重篤な事故に直結します。腹パンの危険性と内臓リスクは、医療現場でも「腹部鈍的外傷」として強く警告されている重大な事象です。
肋骨のような強固な骨格で守られている胸部とは異なり、腹部は筋肉と脂肪組織のみで内臓を支えています。防御の姿勢を取っていない無警戒な状態へ強い圧力が加わると、以下のような致命的損傷を引き起こします。
腹パンによる身体への影響として最も恐ろしいのが、肝破裂や脾破裂に伴う「腹腔内大出血」です。受傷直後は目立った外傷が見られず、本人が歩行できる状態であっても、数時間かけて体内でじわじわと出血が進行し、ショック状態から手遅れになる事例が存在します。また、強い打撃によって自律神経が過剰反応を起こす「迷走神経反射」による急激な心拍数低下や失神、転倒時の頭部強打といった二次被害も深刻です。
学校や職場の悪ふざけ、罰ゲームなどで安易に真似をする行為は、傷害罪や過失傷害罪に問われる明白な違法行為であり、取り返しのつかない後遺症を残すリスクを孕んでいます。