リンの魅力を語る上で欠かせないのが、声優を務めた沢口靖子氏の演技だ。当時、トレンディドラマなどで清純派や知的な役柄が多かった彼女が、江戸っ子口調でぶっきらぼうに喋るリンを演じたことは大きな驚きをもって受け止められた。
しかし、そのハスキーで勢いのある声の裏には、千尋を気遣う繊細なニュアンスが常に含まれていた。「イモリの黒焼き」を欲しがるお茶目な一面や、千尋の出発を静かに見送る切ない声のトーン。沢口氏の計算され尽くした、あるいは直感的な演技があったからこそ、リンはただの記号的なキャラクターにならず、血の通った人間としてスクリーンに刻まれたのである。