一般的に、炭素(C)を含む物質を有機物、それ以外のものを無機物と呼ぶ。これが基本だ。しかし、この定義にはいくつかの「例外」が存在する。例えば、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)、ダイヤモンドや黒鉛などは、炭素を含んでいるにもかかわらず無機物に分類される。なぜか。
鍵を握るのは、化学結合の複雑さと「生命活動」との歴史的な結びつきだ。かつて化学者たちは、有機物は生命力によってのみ作り出されると信じていた。19世紀に尿素が人工合成されてその神話は崩れたが、今でも水素や酸素などと複雑に結びついた炭素化合物を「有機物」と呼ぶ慣例は生きている。一方で、構造が極めて単純な炭素化合物は、無機物として扱われるのだ。