奇想天外な着想で知られる山田風太郎の傑作小説を、映画界の暴れ馬と呼ばれた鬼才・深作欣二監督が映像化した1981年の大作。それがすべての始まりだった。名だたる歴史上の英傑たちが現世への恨みを抱いて蘇るという荒唐無稽な設定を、監督は徹底したリアリズムとダイナミズムでねじ伏せていく。
その中心で異様な輝きを放ったのが、佳那晃子演じる細川ガラシャだ。敬虔なキリスト教徒としての清廉さと、黄泉の国から蘇った魔性の女としての妖艶さ。この極端な二面性を、彼女は息を呑むような肉体表現と狂気すれすれの微笑みで見事に具現化した。白無垢から覗く冷徹な眼光。唇のわずかな震え。深作監督が求めた「肉体を削ぎ落とすような情念」に、佳那晃子は全身全霊で応えてみせた。