国民的グループであるSMAPのメンバーとして一世を風靡した時代、彼は常にグループの「静かなる推進力」だった。多忙を極めるバラエティやドームツアーの裏側で、草なぎ剛は密かに演技の刃を研ぎ澄ませていたという。当時の現場スタッフが明かす貴重な秘話がある。多忙な合間を縫ったリハーサル中、他のメンバーが休息を取る傍らで、彼だけは一人隅に座り、台本の余白が真っ黒になるまで役の感情や背景を書き込んでいた。華やかなスポットライトの裏で見せたその愚直なまでの努力こそが、後の圧倒的な大化けを予感させていたのだ。
そして独立を経て、映画『ミッドナイトスワン』で見せたトランスジェンダー役という果敢な挑戦。さらに世界中から注目を集めるNetflix制作の大型プロジェクトに至るまで、彼の演劇的進化は留まることを知らない。作品ごとにまったく異なる人物へと憑依する秘密は、SMAP時代から培われた「己を一度無にして役を受け入れる」徹底した自己消失の美学にあった。ファンや映画関係者を驚かせ続ける舞台裏の真実、それは計算を超えた純度100%の感性とたゆまぬ準備の結晶である。