この盗塁が伝説と呼ばれる最大の理由は、背負っていたリスクの桁外れの大きさにあった。9回2死、1点ビハインドでの盗塁死は、そのままゲームセットと侍ジャパンの敗退を意味する。
鳥谷は引退後のインタビューなどで、当時の胸中について「もし失敗していたら日本に帰れなかった」「野球人生が終わるかもしれない恐怖があった」と率直に吐露している。ネット上で語られる鳥谷の名言の元ネタは、まさにこの背水の陣で放たれた覚悟にある。
阪神タイガースで歴代2位の連続試合出場記録を打ち立てた「鉄人」の真骨頂は、頑丈な肉体だけでなく、国家の命運を背負う場面でも決して揺るがない強靭なメンタリティにあったことを証明している。