男性たちの金銭を奪い、命まで奪ったとされた事件。2017年に最高裁判所で死刑が確定したにもかかわらず、なぜ彼女の周りから男たちが消えないのか。
作家の北原みのりは、著書『毒婦 木嶋佳苗の100日裁判』の中で、彼女が放つ異常な自己愛と、男たちの理想像を演じ分ける悪魔的な巧みさを緻密に描いた。彼女は決して世間一般の美の基準に合致するわけではない。しかし、完璧な家事能力や丁寧な言葉遣い、そして圧倒的な肯定感を与えることで、自信を失った男性たちの心を急速に開かせた。
裁判資料や自身の手記から浮き彫りになるのは、歪んだ万能感だ。自分を罰しようとする国家権力や司法に対しても、どこか冷ややかな視線を向け続ける。その揺るぎない態度が、一部の男性にとって「救い」や「神秘」として映ってしまう皮肉な現象が起きている。