死後離婚の手続きは、生前の離婚届のような複雑な調停や裁判を必要とせず、単独で簡潔に完結します。
手続きを行う窓口は、届出人の本籍地または所在地の市区町村役場です。提出書類は「姻族関係終了届」と戸籍謄本(本籍地以外の役所に提出する場合)のみで、費用は無料です。家庭裁判所の許可や義実家の署名・押印はもちろん不要で、配偶者の死亡届が受理された後であれば、1か月後でも10年後でも提出時期に法的な期限はありません。
よくある疑問として「苗字(姓)はどうなるのか」という点があります。姻族関係終了届を提出しただけでは、婚姻時の苗字はそのまま変わりません。もし旧姓(結婚前の氏)に戻したい場合は、別途「復氏届(ふくうじとどけ)」を提出する必要があります。
復氏届の提出も本人の完全な自由意志に委ねられています。「仕事や生活の便宜上、夫の姓を名乗り続けたいが、義実家との親族関係は解消したい」という場合は、姻族関係終了届のみを提出して旧姓には戻さないという選択が法的に可能です。さらに、義実家と同じ先祖代々の墓に入りたくない場合は、死後離婚を行っておくことで祭祀承継の義務を拒否する正当な根拠となります。