工場の爆発事故によって突如職を失い、家を飛び出した主人公・五十嵐。彼が東京の街を漂流する果てに行き着くラストシーンは、初見の観客に強烈な衝撃と困惑を残す。一切の言葉を発さず、ただ他者の生と死を傍観し続けた男が最後に目撃するもの——それは、あまりにも皮肉で、同時に残酷なまでに美しい家族の肖像だった。
この物語の結末は、単なるハッピーエンドでもバッドエンドでもない。漂流の果てに自宅へと戻った彼を迎える日常の光景は、彼が不在の間も世界が平然と回り続けていた冷徹な事実を突きつける。しかし同時に、無言のまま家族を見つめる彼の瞳には、地獄を潜り抜けた者だけが獲得できる微かな生の肯定が宿っている。