SNS上では、水族館のガラスを滑るエイの写真に対して「エイの裏側が宇宙人にしか見えない」「ガラス越しに小型エイリアンが手を振っている」といったユニークな投稿が度々トレンド入りします。エイの裏側に対するネットの反応を追跡すると、国内のみならず海外コミュニティ(RedditやTikTok等)でも「Cute Alien(可愛い地球外生命体)」として広く親しまれている実態が浮かび上がります。
しかし、この「エイの腹側が人面やエイリアンに見える現象」は、決して現代のインターネット社会で初めて生まれた面白ネタではありません。歴史を遡ると、大航海時代の船乗りたちを震え上がらせ、時には見世物小屋で高値で取引された奇妙な歴史が存在します。
歴史に名を残す人造UMA「ジェニー・ハニヴァー」16世紀頃からヨーロッパの港町で作られていた伝統的な工芸標本に「ジェニー・ハニヴァー(Jenny Haniver)」があります。これはガンギエイなどの小型のエイを乾燥させる際、ヒレを翼のように変形させ、頭部や尾を細工して作られたエイの干物の人面標本です。乾いて縮んだエイの腹側は、まるで苦悶の表情を浮かべる悪魔やドラゴンの幼体、人魚のミイラのように見えたため、当時の人々は「未知の怪異」として本気で信じ込みました。
日本国内の沿岸地域でも、乾燥したエイの顔が宇宙人や妖怪に似ていることから、民俗学的な魔除けや怪談の題材として語り継がれてきた記録が残っています。科学的な知識がない時代、人間そっくりの「顔」を持つ海洋生物の死骸は、人々の畏怖と想像力を掻き立てる格好のミステリーだったのです。