水無月と並び、この時期の和菓子店を賑わせるのが若鮎だ。初夏の鮎解禁に合わせて作られるこの焼き菓子は、ふんわりと焼き上げたカステラ風の生地で、もっちりとした求肥を包み込んでいる。表面に焼きゴテで描かれた目やヒレのラインには、職人の手仕事ならではの愛嬌と躍動感が宿る。
一方、純粋な涼感を追求するなら葛切りに勝るものはない。極上の吉野本葛を熱湯で素早く練り上げ、氷水で一気に締める。透き通った帯状の葛を箸で手繰り、濃厚な黒蜜にくぐらせて啜る瞬間の喉越しは、日本の初夏ならではの贅沢だ。シンプル極まりない材料だからこそ、水と素材の質、そして職人の手際の良さが味のすべてを決める。