救急救命センターに搬送されてきた患者が大量出血しており、血液型の判定を待つ数分〜十数分の猶予すらない場合、現場ではどのような処置が取られるのでしょうか。
ここで登場するのが緊急輸血におけるO型Rh陰性(O型Rh-)赤血球濃厚液です。赤血球表面にA抗原・B抗原・D抗原(Rh抗原)が存在しないため、血液型が不明な患者であっても急性溶血反応を起こすリスクが最も低く、救命プロトコルとして世界中で採用されています。
ただし、現場の医師や看護師の証言によると、「O型Rhマイナスを未検査で投与するのは、文字通り1分1秒を争う生命危機の数ユニットのみ」です。投与を開始すると同時に超特急で患者の血液検査を行い、血液型が判明次第、速やかに患者と同型の血液へと切り替えられます。
さらに、医療現場では血液型の取り違えや免疫拒絶をゼロにするため、以下の厳格な安全基準が運用されています:
- 赤血球濃厚液の交差適合試験(クロスマッチ):患者の血清と輸血用血液の赤血球を混ぜ合わせ、顕微鏡下で凝集や溶血が起きないかを事前に確かめる主試験を徹底。
- 血小板輸血の血液型一致:血小板製剤には微量の血漿が含まれるため、原則としてABO同型を投与。型が異なる製剤を使用する場合は、血漿中に含まれる抗体価を測定して安全性を担保。
- 輸血後GVHD(移植片対宿主病)の予防:供血者のリンパ球が患者の体を攻撃し、多臓器不全に至る致死率ほぼ100%の合併症を防ぐため、すべての血液製剤に対して放射線照射(15〜50Gy)を実施。日本の輸血医療においてGVHD発症率は事実上ゼロに抑え込まれています。