「親がいなくなっても、この子が自分の足で生きていけるようにしたい」——母・泰子さんの強い決意のもと、翔子さんは30歳を迎えた年に一人暮らしをスタートさせました。東京都大田区のアパートで始まった新生活は、多くのメディアやドキュメンタリーでも大きな話題を集めました。
当初は料理や買い物、金銭管理など多くの不安が囁かれましたが、近所の商店街の人々と温かい交流を築きながら、翔子さんは着実に生活力を身につけていきました。自らスーパーで食材を選び、自炊をし、掃除や洗濯をこなす日々の営みは、彼女の人間性をさらに豊かにし、書の深みへと直結しています。
その自立への歩みと母娘の葛藤・情愛は、長編ドキュメンタリー映画『共に生きる 書家金澤翔子』でも克明に描かれ、観る人々に深い勇気と感動を与えました。「子離れ・親離れ」を通じてより強固になった母娘の絆は、障害を持つ子どもを育てる多くの親世代にとって大きな希望の道標となっています。