インターネット上のQ&AサイトやSNSでは、「首が回らない時はボキボキ鳴らす整体で治った」「強くマッサージして筋肉をほぐせば良い」といった誤った情報が散見されます。しかし、環軸関節に異常がある状態での首への回旋ストレスや急激な外力は、生命予後を脅かす極めて危険な行為です。
環軸関節の直近には、脳幹へ血液を供給する重要な「椎骨動脈」が走行しています。不安定性のある環軸関節に対して強い回旋手技や牽引を加えると、靭帯が完全断裂して脊髄を直接損傷し四肢麻痺に陥るリスクがあるほか、椎骨動脈解離を引き起こして小脳・脳幹梗塞を誘発する恐れがあります。
また、「温熱パックで温めれば治る」という思い込みも危険です。小児の環軸関節回旋位固定やリウマチ性の滑膜炎の場合、関節局所は急性・慢性の炎症状態にあります。不適切な加温や自己流のストレッチは局所の浮腫を悪化させ、関節のズレを固定化させてしまう要因になります。確定診断がつくまでは、首を安静な中間位に保ち、余計な刺激を与えないことが鉄則です。