低カリウム血症の治療は、日本循環器学会や各種内科学会の低カリウム血症の治療ガイドラインに沿って、重症度と原因疾患に応じた安全な手順で進められます。低カリウム血症の原因と治し方における鉄則は、「急速な補正による高カリウム血症への急転換を避けること」です。
治療のアプローチは、患者の全身状態に応じて明確に分かれます。
- 経口補正(軽度〜中等度):自覚症状が乏しく食事が可能な場合は、塩化カリウムやアスパラギン酸カリウムなどの内服薬(錠剤・散剤・徐放錠)を投与し、数日から数週間かけて緩徐に血中濃度を回復させます。
- 点滴静注補正(中等度〜重度・緊急時):経口摂取が不可能な場合や心電図異常・筋麻痺を伴う重度の場合は、末梢または中心静脈からカリウム含有輸液を投与します。カリウム溶液の急速注入は心停止を誘発するため、輸液ポンプを用い、厳格に決められた補正速度(原則として20 mEq/時以下)を守って慎重に投与されます。
- 原因薬剤の中止・調整:利尿薬が原因であればカリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン等)への変更、漢方薬が原因であれば休薬を実施します。
- 原因疾患の外科・内科的治療:原発性アルドステロン症の局所病変であれば副腎摘出術、両側性であればアルドステロン拮抗薬の投与など、基礎疾患そのものを根本治療します。
また、血清マグネシウムの低下が併発している場合、マグネシウムを補正しなければ尿中へのカリウム排泄が止まらないという病態(難治性低カリウム血症)が存在します。最新の治療指針では、カリウム単独ではなくマグネシウム値も同時に測定・補正することが標準的な手順として定着しています。