通信の世界には、利用者の不安を煽る誤った情報や、思わぬ落とし穴が潜んでいます。取材班が頻繁に耳にする代表的な誤解と、その客観的な真相を暴きます。
誤解1:「SIMカードを抜いたり替えたりすると、スマホの写真やアプリが消える」
最も広く蔓延している誤解ですが、結論から言えば写真、動画、連絡先、LINEのトーク履歴、インストールしたアプリなどのデータがSIMの差し替えによって消去されることは一切ありません。これらのデータは端末本体の内部ストレージ(ROM)またはクラウド上に保存されており、SIMカードに記録されているのは電話番号や回線認証情報のみです。安心して差し替え作業を行ってください。
誤解2:「格安SIMにすると、山間部や郊外で電波が繋がりにくくなる」
「格安」という言葉の響きから、大手キャリアよりも電波の届く範囲が狭いのではないかと疑う声が後を絶ちません。しかし、MVNOは自前でアンテナ基地局を建てているわけではなく、ドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアの回線網をそのまま借り受けてサービスを提供しています。したがって、ドコモ回線を使う格安SIMであれば、ドコモと全く同じエリア・同じ人口カバー率で通信できます。電波の「届く場所」に差はなく、差が生じるのはあくまでアクセスが集中した際の「通信速度」です。
誤解3:「eSIMはトラブルがなく、物理カードよりあらゆる面で優れている」
先進的なeSIMにも特有の盲点が存在します。物理SIMであれば、端末が突然故障したり画面が割れて操作不能になっても、カードを抜き取って別の予備スマホに挿し直すだけで即座に通信や通話を復旧できます。しかしeSIMの場合、故障端末が操作できないとプロファイルの削除や転送がスムーズに行えず、通信事業者のサポート窓口で再発行手続きを行わなければならないケースがあります。デジタル完結の利便性と引き換えに、物理的な差し替えによる緊急復旧が難しくなるリスクは念頭に置くべきです。