北海道の原生林や都市近郊の公園に生息するエナガの亜種、シマエナガ。本州のエナガと異なり、頭部全体が純白の羽毛で覆われている点が最大の特徴です。体長は約14cmほどですが、その約半分を長い尾羽が占めており、体重はわずか7〜8g前後しかありません。イラストにおいてこの「雪の妖精」の魅力を余すところなく表現するには、生物学的な特徴を押さえつつ、視覚心理学的なアプローチを組み合わせることが不可欠です。
動物行動学者のコンラート・ローレンツが提唱した「ベビーシェマ(赤ちゃんの身体的特徴が保護欲を刺激する現象)」は、シマエナガのイラスト制作において最も重要な基礎理論となります。丸い頭部蓋、身体に対して低い位置にある大きめの目、極めて小さな嘴、そして短くふっくらとした胴体。これらをデフォルメして手書きで表現する際、以下の3つの比率を意識するだけで、誰でも一目で「可愛い」と感じるシマエナガを描き出すことが可能です。
第1に、頭部と胴体の比率をほぼ「1対1」のひとつの卵形として捉える点です。首のくびれを一切作らず、丸いお餅や大福のようなシルエットをベースにします。第2に、目と嘴の距離を極限まで近づけることです。両目の中心線よりわずかに下に小さく黒い三角の嘴を配置することで、幼く無垢な表情が生まれます。第3に、尾羽の角度と長さです。後ろにまっすぐ伸ばすのではなく、斜め下や横へチョコンと覗かせることで、全体の丸みを引き立てるアクセントになります。