近年のプロ野球を論じる上で避けて通れないのが、クライマックスシリーズ(CS)が生み出すアイデンティティの揺らぎだ。年間143試合を戦い抜いてリーグ優勝を飾ったチームが短期決戦で敗れ去り、2位や3位の球団が日本一に輝く現象は、ファンの間で激しい議論を呼び続けている。
2010年の千葉ロッテマリーンズ、そして2026年の横浜DeNAベイスターズが成し遂げた下剋上は、制度上正当な日本一である。しかし、リーグ優勝を果たさずに得た日本一に対して、当事者のファンですら「歓喜の奥にどこか割り切れない感情」を抱くことがある。真の意味での「完全制覇」を達成していないという感覚が、「まだ成し遂げていない」という心理的な欠乏感へとすり替わっている側面は否定できない。