映画史を振り返れば、『ローズマリーの赤ちゃん』や『オーメン』など、悪魔や神の受胎を題材にした傑作宗教ホラーは数多く存在する。しかし本作がそれらと決定的に異なるのは、超自然現象やオカルトではなく、人間側のエゴと科学の暴走が生み出した悪夢であるという点だ。神圣な奇跡の仮面を剥ぎ取った先に現れるのは、女性の身体をただの「器」として搾取しようとする組織の醜悪さに他ならない。
NEONによる挑戦的なプロモーションも相まって、本作は公開直後から宗教界や映画ファンの間で激しい議論を巻き起こした。過激な暴力描写に対する賛否両論を逆手に取り、「冒涜的である」という批判コメントをそのまま公式ポスターに掲載した手法も話題を呼んだ。古典的なゴシックホラーの様式美をまといながら、現代社会の鋭い論点を照射する姿勢こそが、本作を特別な一本たらしめている。