市原の表現を語るうえで、鍛え上げられた強靭な肉体とアクションへのこだわりは外せない。数々のアクション映画で見せるキレのある身のこなしや重厚な殺陣は、付け焼き刃のトレーニングで得られるレベルを遥かに凌駕している。日々の日課である過酷なウエイトトレーニングに加え、ボクシングや武道の鍛錬、徹底した食事管理。すべては「役に命を吹き込むための準備」に過ぎないと彼は語る。
スタントに頼らず自らの肉体で危険なシーンを演じ切るその気迫は、共演者やスタッフをも圧倒する。カメラの前に立つ瞬間、すでに役そのものの筋肉と呼吸を宿していること。肉体美の真相とは、ナルシシズムとは無縁の、映画表現に対する極限の敬意とプロフェッショナリズムの結晶なのだ。