原作者である吾峠呼世晴が構築したシビアなダークファンタジーの世界において、無一郎というキャラクターの存在感は際立っている。凄惨な過去を背負いながらも、運命に抗い剣を振るう彼のバックボーンがあるからこそ、読者は時折見せる年相応の表情に一層の愛おしさを覚える。
さらに、アニメ版で声を担当する河西健吾の演技が、その魅力を完璧なものに仕上げた。抑揚を抑えたミステリアスな語り口から、記憶を取り戻した後の温度感ある少年らしい声色への変化。その声の響きがイラストを描く人々のイマジネーションを膨らませ、可憐で芯の強いビジュアルイメージの確立に決定的な役割を果たしている。