テレビからネットへのシフトが叫ばれて久しいが、これほど鮮烈にネットカルチャーを飲み込んだベテランが他にいただろうか。公式チャンネル『貴ちゃんねるず』の立ち上げは、当初こそ業界内で懐疑的な目で見られていた。しかし蓋を開けてみれば、そこにあったのはテレビの縮小版ではなく、規制へのアンチテーゼと圧倒的な人間臭さだった。
YouTubeというプラットフォームで石橋貴明が提示したのは、洗練されたスマートさではなく、愚直なまでの「泥臭い笑い」だ。コロナ禍に苦しむ飲食店を突撃応援する企画や、若手芸人を容赦なく追い込むストロングスタイルのロケ。テレビマンたちが諦めた「熱気」をネット上で見事に再現してみせた。登録者数や再生回数といったアルゴリズムの数字以上に、彼の動画には視聴者を惹きつけて離さない引力がある。
画面の枠に収まりきらない巨躯を揺らし、スタッフと悪ふざけを繰り広げる姿は、かつて日本中を熱狂させたあの頃と何一つ変わっていない。ネットを単なる避難所にするのではなく、新たな主戦場へと塗り替えた手腕は、同世代のタレントの中でも突出している。