インターネット上では、極端な言説が独り歩きし、不要な恐怖心や誤解が再生産されがちです。ここでは取材で見えてきた3大誤解を解き明かします。
誤解1:十六八重表菊をネットアイコンにすると著作権法違反で訴えられる?
前述のとおり、皇室の紋章は歴史的共有物(パブリックドメイン)であり、著作権は存続していません。著作権侵害で訴訟を起こされることは法理上あり得ません。ただし、他者が独自にCGソフトや手作業で高精細に描き起こしたイラスト素材を無断転載した場合は、その「画像データ自体の著作権」侵害になり得ます。
誤解2:家紋が菊の家系は、戸籍や家紋の変更を強制される?
太政官布告が出された明治期には改変を迫られた家系も実在しましたが、現代の法体系において個人の家紋を国が規制・調査する権限はありません。代々伝わる墓石や羽織に菊紋が刻まれていても、何ら法的問題はなく、改変の義務も一切生じません。
誤解3:海外製品に菊の紋が入っているのは国際法違反?
海外企業が菊花紋章に類似したロゴを使用する事例が散見されます。パリ条約第6条の3では「国の紋章、旗章その他の国家の記号」を商標登録から除外する協定がありますが、これは商標登録を拒絶するための枠組みであり、私的な製造・販売そのものを国際警察が差し押さえるような強制力はありません。外交ルートを通じた抗議や申し入れが行われるにとどまります。