旭川市金星町に建つ市立旭川病院の現本館は、1980年代の竣工から40年以上が経過し、設備の老朽化や狭隘化、耐震基準への対応が限界を迎えています。しかし、数十年にわたり議論されてきた建て替え計画は、すんなりと着工に至ることはありませんでした。
市政関係者の証言や議会記録を紐解くと、計画迷走の引き金となったのは「立地選定」と「建設コストの急騰」という二重の壁です。歴代市政において、金星町の現敷地での現地建替えか、交通利便性に優れる北彩都地区などの別敷地への移転かという議論が白熱しました。一時は移転案が優勢と見られた時期もありましたが、周辺住民からの強い反発や用地買収のハードル、さらには現敷地周辺の経済的空洞化を懸念する声が噴出。最終的には現敷地周辺での再整備が基本軸として再確認される形となりました。
さらに深刻な影を落としたのが、近年の全国的な建設インフレです。当初見込まれていた試算から、資材費や人件費が1.5倍から2倍近くに跳ね上がり、総事業費が400億円から500億円規模にまで膨らむ可能性が浮上しました。旭川市のように人口減少と少子高齢化が進む地方都市にとって、将来世代へ重い市債負担を遺すことは看過できません。このため、当初計画されていた病床数の絞り込み(500床規模から400床前後への減床検討など)や、機能の集約化に向けた見直し作業が現在も鋭意進められています。