本作のクリエイティブの要として舵を取るのが、世界的な評価を確立している是枝裕和監督と、日本映画界を牽引し続ける東宝のタッグだ。是枝監督が長年培ってきた人間の機微をすくい取る演出力と、東宝が誇る強固な製作基盤が融合することで、これまでの商業作品の枠組みを軽々と飛び越えるケミストリーが生まれている。
「小豆を煮る音、湯気の揺らぎ、木型から菓子が外れる瞬間の静かな響き。それらすべてに人間の感情が宿っている」と是枝監督は現場で語ったという。登場人物のセリフに頼るのではなく、静けさや余白、手元の微細な所作で内面を語らせる演出手法は、まさに映像表現の原点回帰でありながら、新次元の洗練を感じさせる。