階級を上げた初戦で、WBC(世界ボクシング評議会)およびWBO(世界ボクシング機構)の統一王者だったフルトンを圧倒した事実は、ボクシング界の常識を覆した。スーパーバンタム級の体格差やリーチの不利を懸念する声を、井上はその破格のボクシングIQで粉砕してみせた。
この劇的な勝利によって、井上尚弥の名はパウンド・フォー・パウンドの議論において不可侵の頂点へと押し上げられた。パワーだけでなく、ディフェンスの勘、カウンターの精度、リング上での状況判断能力。どれをとっても世界のトップレベルであることを証明したあの戦いは、まさにモンスターの真骨頂であった。